2021年6月に発売した「プチレモンケーキキット」は、お菓子作りの材料・道具を3万点以上取り揃える通販サイト「cotta」とオレンジページが共同開発した、誰もが簡単に、おいしく作れるおやつキットです。

レシピの考案から各ツールの制作、販促に至るまで、お互いの得意分野を活かして進めていったという今回の取り組み。料理分野に強いオレンジページと、お菓子作りに特化したcottaの協業にはどのような狙いがあったのでしょうか。cottaの担当者である株式会社TUKURUの阿由葉紀子さんと、オレンジページの藤井裕子、屋代悠里が語ります。

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ごはんを炊くように、日常的にお菓子を焼いてほしい

—今回のコラボレーションの経緯を教えてください。

屋代悠里(以下「屋代」):『オレンジページ』の読者には料理が好きな方が多いのですが、お菓子作りをしている方は比較的少ないんです。「材料が使いきれない」、「うまく作れるか不安」。そういう想いを持っている読者にもお菓子作りを手軽に感じてもらい、ハードルを下げたかったので、製菓を得意としている会社さんと一緒になにかできないかと考えていました。

そのなかで、もともとお付き合いがあったcottaさんにお声がけをさせていただきました。コラボレーション企画のアイディアとして出たのは、お菓子を共同開発したり、お菓子のムック本をつくること。それから、『オレンジページ』の付録を一緒につくる案や、オンライン料理教室を開くなどの案もありました。

プチレモンケーキキットを開発することになったのは、意見交換をするなかで、cottaさんの「今後、お菓子作りのキットを開発していきたいんですよね」というお話がきっかけです。キットってやっぱり初心者向けというか、新しくお菓子作りを始めてみたい人にも手に取ってもらいやすく、ぴったりだと思いました。

左から屋代悠里、阿由葉紀子さん、藤井裕子。


藤井裕子(以下「藤井」):私が編集長を務めている、料理に特化したムック本『オレンジページCooking』の読者にも、料理は大好きだけどお菓子はそんなに作らないという人が意外と多いです。

お菓子作りの悩みとして「次にいつ作るかわからないから材料が余るのが嫌だ」「型を持っていない」という声をよく聞きます。あと計量が苦手だという人もすごく多いですね。料理と違って、目分量ではできないところもハードルを上げている一因かと思います。そのすべてが一挙に解決するキットはすごく魅力だなと感じました。

阿由葉紀子さん(以下「阿由葉さん」):お菓子作りに特化しているcottaとしては、まさに『オレンジページ』の読者さんのような、お料理が好きでお菓子にも挑戦したいけど、なにから始めたらいいかわからないとか、苦手意識がある方にアプローチしていきたいなと思っていました。「お料理は毎日するけれど、お菓子は多くて月に1回作ればいいほう」という人にも、ごはんを炊くのと同じくらい日常的にお菓子を作ってほしい。cottaだけでそれを実現するのは難しいと考えていたので、オレンジページさんからお声がけいただいたときに、本当にありがたいお話だと思いました。

また、キットの開発を強化していくうえでは、クリスマスやバレンタインなどのイベントがない時期にも売れるキットを作ることが課題のひとつでした。そんななか、今回はお菓子作りにとって難しい夏だったので、オレンジページさんや人気料理家さんにご協力いただいてキットを作れることは魅力的でしたね。


―ハードルを下げる、あるいは成功体験を積み重ねてもらうことは、オレンジページが誌面を通してずっと取り組んできたことなのかなと思います。cottaさんの社長さまも「『だれかを想う。またつくりたくなる』、そんなお客様のお気持ちによりそう会社でありたい」とおっしゃっていて、それもまた成功体験のことを言っているんだなと感じました。

阿由葉さん:お菓子って、お子さんや友だちなど、誰かのために作ることが多いですよね。得意だから作るというよりは、喜ばせたいという動機で。だからキットの開発においても、誰かに作ってあげたくなるもの、なおかつ初心者でも失敗せず作れるものを常に目指しています。

屋代:cottaさんの理念は、オレンジページが雑誌を作るうえで大事にしていることと似ていると思います。私たちも「自分がラクに作れればいい」ということではなく、家族においしいと言ってもらえるレシピを提供したいと思っているので、そもそもの企業メッセージが合致したというのもコラボレーションがうまくいった要因かもしれません。

最初の成功体験を生み出すキット

―プチレモンケーキキットは、フォークで混ぜるだけという徹底した手軽さが特徴です。開発を進めるなかで大切にされたポイントはありますか?

阿由葉さん:特別な道具を使わない、自分で用意しなければいけない材料が少なく、キットだけでほぼ完結できる、そして型が残らないことにこだわりました。今回は紙の型を使っているので、焼いたらそのままプレゼントできますし、食べ終わったら捨てられるので、「型だけ残っちゃったけど使い道がない」ということになりません。おいしいのは大前提として、“使いきれる”ことを一番重要視していました。

お菓子の型って収納に場所をとりますし、うまくしまうのも難しいんですよね。これはcottaのお客さまからも多く聞く悩みだったりします。キットをきっかけにしてお菓子を頻繁に作ってもらいたい気持ちはあるのですが、まずは成功体験をしてもらうことが大事。そこから徐々にステップアップしてもらい、cottaでほかの型も購入いただけるようにまでなったらうれしいですね。

必要な食材は卵と牛乳、サラダ油のみ。紙製の型を使ってかわいらしいプチレモンケーキができあがる。


―オレンジページ側ではどういうところを大切にしましたか?

藤井:普段からオレンジページでの仕事では、買った方に喜んでいただけるようなレシピを料理家の方からいかに引き出せるかということを大切にしています。今回のキットのターゲットは、お菓子作りの初心者、もしかしたら初めて作るかもしれないほどのビギナー。そのことを監修者である料理家のムラヨシマサユキさんに伝え、一緒にアイディアを練っていきました。

たとえば、お菓子を作るときにはバターが必要だけど、初めて作る人ってバター買ってくれるかな?という話から始まって。「値段も高いし、お菓子にしか使わない無塩バターは買わないよね」とムラヨシさんが言ってくださり、そこから「目指すのは焼き菓子だけど、バターを使わないレシピにしよう、その代わりバターミルクパウダーなど少しコクのある素材を入れて、バターを使わなくても絶対においしくなるミックス粉を作りたいね」という話になったんです。さらに「泡立て器を持っていない人もいるだろうから、フォークさえあれば生地が作れるようにしよう」と。

そして、夏に発売するキットなので冷やして食べてもおいしいお菓子にしようということで、焼き菓子だけど清涼感があって爽やかなレモンケーキになりました。

生地はどんなふうに混ぜても必ずふんわりと仕上がるよう、配合が計算されている。



それぞれの強みを活かした役割分担

―開発をするなかで、印象に残っていることはありますか?

阿由葉さん:ムラヨシさんとのやりとりはオレンジページさんにお任せしていたのですが、あっという間にレシピが決まって、しかも製粉会社さんもびっくりするぐらいおいしいミックス粉ができて……本当にそこまでのスピード感がすごかったんですよ。ムラヨシさんの力はもちろん、やり取りしていただいたオレンジページさんの力も大きいなと感じました。

藤井:今回のミックス粉「ムラヨシMIX」はcottaさんで取り扱っている素材を調合して作ったのですが、小麦粉とか、アイシングの素材ひとつをとっても何種類もあって……正直、素材については私たちには計り知れないところでした。そこから一つひとつ選んで配合し、試作して、イメージと違ったら素材や量を変えてまた試作をするというすごい作業をムラヨシさんにお願いしたんです。「これがだめなら、別のこういう商品がある」という部分はかなりの専門知識が必要だったので、阿由葉さんにお願いしてしまいました。なので、「こういう素材をミックスに入れたら、こんな仕上がりになるんだ」とか、勉強させてもらうところがたくさんありました。

―お互いの得意なことを学び合ったような形ですね。

藤井:そうですね。折り畳みの紙製の型も、こういう商品があることを初めて知りましたし、cottaさんが培ってきた専門性や商品知識は本当にすごいなと何度も思いました。

屋代:それから販促面もいい刺激になりました。ムラヨシさんご本人にキットを実演いただくインスタライブを行った際に、配信はcottaさんにお願いしたのですが、インスタライブに慣れていて。MCの進行や、複数台のカメラで配信するときの撮影の仕方など、どうしたら伝わりやすいかが消費者目線で考えられていて、さすがSNSの総フォロワー数が100万近い企業だなと。今後、弊社もデジタルに力を入れていきたいので勉強になりました。

インスタライブ時のムラヨシさんのオフショット。


阿由葉さん:ありがとうございます。ライブ配信や動画撮影は手探りで取り組んできてやっと今のやり方にたどり着いたので、このタイミングでご一緒できてよかったです。cottaのお客さまにオレンジページを知らない人はいないと思うので三者コラボでできたこともよかったですし、多くの反響もいただいて大成功の配信になりました。

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(記事公開日:2021年9月3日)

※弊社・藤井裕子は2021年9月8日に急逝いたしました
ここにご冥福をお祈りするとともに謹んでお知らせいたします