さまざまな部署からメンバーが集まり進められた「みんなのオレペPROJECT」。コーポレートロゴをつくることにとどまらず、オレンジページのこれからを考えるプロジェクトに発展していくなかでは、どのようなコミュニケーションが交わされたのでしょうか。

プロジェクトメンバーである広報担当の遠藤由美子、エディトリアルコンテンツ部の山田かおり、くらしデザイン部の吉岡華子、そして、伴走者である株式会社スマイルズのクリエイティブディレクター、林大輔さんが振り返りました。

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「そもそもコーポレートロゴって必要?」から始まったプロジェクト

―まずは、プロジェクトに参加したきっかけを教えてください。

遠藤由美子(以下「遠藤」):そもそもは、ロゴをつくることになった際、「広報担当は事務局として入ってください」ということで参加しました。広報担当としては、上層部がつくったロゴを社外にPRするという仕事として受けても、もちろんよかったのですが、それだと違和感があるなと思ったんですね。

きれいにパッケージングして広報しても、社員の一人ひとりが現場に出て仕事をするなかで、ロゴの成り立ちについて聞かれたときにきちんと答えられないっていうのは、なんていうか、オレンジページっぽくないなと。私はオレンジページに個性的でそれぞれこだわりのある人が集まっているところが好きで、そんなみんなが自分なりに噛み砕いて伝えられるようにしたいと思ったんです。

それに、ロゴをつくるなんて、会社員としてなかなか体験できることではありません。だからこそ、ほかの社員たちも巻き込みたいという気持ちがあって、いろんな部署からメンバーを集めたプロジェクトにさせていただきました。

左から、山田かおり、遠藤由美子。

―オレンジページにはもともと「みんなでつくる」ことがマッチするような風土があったんですね。山田さんはいかがですか?

山田かおり(以下「山田」):私は、「ロゴプロジェクトというものが始まるらしいから、うちの部署からはあなたが参加してください」というメールが上司からきまして。なので自分で手を挙げたわけではなく、比較的冷静に、業務の一環として引き受けました。その時点では、ロゴをつくることがどういうことなのかをあまり深く考えていなかったので、とりあえず会議に参加して話を聞いてみようという感覚でした。

吉岡華子(以下「吉岡」):私も経緯は山田と似ていて、「部署からひとり出してほしい」と、業務として話がきたんですよね。最初はロゴをつくることよりも、社内を横断したプロジェクトが珍しいなという印象を持ちました。それで、部内でじゃんけんをして私が勝ち、参加することに。ただ、そもそもコーポレートロゴは必要なのかな、インナー向けのプロジェクトなのかなと、少し懐疑的だったかもしれません。



―雑誌『オレンジページ』のロゴの認知度が高いのに、今さら別にロゴを?という驚きもあったのでしょうか。

山田:むしろ、雑誌のロゴとは別にコーポレートロゴもあったほうがいいと感じている人がいるということが驚きでした。特に意識することもなく、雑誌のロゴがオレンジページの象徴だと思って当たり前に使ってきたので、それがこのプロジェクトに参加して最初のカルチャーショックだったかもしれません。

吉岡:私は広告営業時代に、「オレンジページ社は」と意識的に「社」をつけて話すことがあったので、ロゴではなくてもなにかで区別できたらとは思っていました。ただ、やっぱり雑誌のロゴは認知度も高くわかりやすいんですよね。だから今回も、本当にコーポレートロゴがいるのかな?と感じたんです。



―遠藤さんは、ロゴの必要性についてどう感じていましたか?

遠藤:広報担当になってから外部の方に会う機会が増え、自社について聞かれたときに、料理教室を運営したり、こういう本を出したりしていますと話すと、「そんなにいろんなことをやってたんですね」と言われることが多くありました。社名と誌名が同じで、さらにロゴも同一であることが、いろいろな業務があることを伝えるうえでは少し違和感を生むのかなと感じていました。

左から、吉岡華子、林大輔さん。


「全員“へん”集長会議」はネーミングも鍵のひとつに

―「みんなのオレペPROJECT」では全社参加のワークショップ「全員“へん”集長会議」が行われました。開催した目的や経緯について教えてください。

林大輔さん(以下「林さん」):そもそも、最初にコーポレートロゴをつくりたいというご相談をいただいたときに、社名を変更するならまだしも、ロゴをつくるだけだとあまり意味がないし、『オレンジページ』のロゴは味わい深いので、変える必要が本当にあるのかな?と僕たちも思っていました。

せっかくやるのであればもう少し幅広く、オレンジページが今後どういう方向を目指していくのか、そのためにどういうところを残していくべきなのかを探りたいと考えたので、「全員“へん”集長会議」や社員さんへのインタビューの実施を提案させていただいて。そのうえで、タグラインやコーポレートロゴをつくりませんかという「みんなのオレぺPROJECT」のご提案をさせていただいたんです。

みなさんから「オレンジページは部署で分断されているところがあり、“村社会”のようになっている」というお話を早い段階から聞いていたので、「全員“へん”集長会議」は、一度横串を刺してみんなで話してみたら新しいものが出てくるのではないかと考えたことがきっかけです。

「全員“へん”集長会議」の目的は、オレンジページの資産=一人ひとりのアイデアを集めること、普段接しない人とコミュニケーションをとること、現状の課題を克服し、新しいオレンジページのあり様を擬似体験すること。それぞれの偏愛について語る機会にもなった。

―「へん」を平仮名にしていることもポイントのひとつなのでしょうか?

林さん:もともとの提案では、漢字で「編集長」としていたんです。外から見ると編集ってかっこいい仕事なので、そんなかっこいいポジションの、しかも長として、みんなが偉いことを言ってくださいと伝えていました。

遠藤:最初のスマイルズさんからのご提案では「全員社長会議」でしたよね。全員社長になって企画会議をしようと。でも私たちのなかで、あんまりピンとこなくて。

山田:「社長」だと、経営者的な目線でまじめな話しか語れなくなりそうだからと「編集長」案が出てきたんですよね。そうしたら今度は、編集部以外の人がとっつきにくいという意見が出て。
そのときにメンバーのひとりから「ひらいたらどうですか?」というアイデアが出て、それなら「“偏”り」「“変”わっている」など、いろんな“へん”を含むという意味でいいですねとスマイルズさんが提案してくださったんです。「ひらく」というのは校正用語で、ひらがなにするという意味。今思えば、そこで「ひらく」というワードが出てきたことが、スローガンの「ページをほどこう.」や、外にひらいていくっていうイメージの起点になっていたのかもしれませんね。

枠から踏み出して現れた、それぞれの個性

―自分たちのアイデンティティやブランド価値を再構築するために、一度枠組みから外れて議論をしてみようということがスタート地点になっていたんですね。

山田:「全員“へん”集長会議」でもオレンジページらしさを10個書き出す作業があったのですが、スマイルズさんが枠の中に終始せず広がっていくような議論の持っていき方にしてくださいました。オレンジページのことを完全に忘れるわけではなく、でもそこだけに固執しないような成り立ちになっていたので、みんな自由に議論ができて、普段とは違う視点で話をする機会になったと思います。私が参加した回はプロジェクトメンバーが多かったのですが、それまで気づかなったお互いの個性が見えて非常におもしろかったんですよ。

吉岡:スマイルズさんがよくおっしゃる「N=1」、つまり、ひとりでも好きなものなど“偏り”を大事にしていこうという考え方がすごく活かされましたよね。村社会化していた会社の中では、優秀な、よく練られた意見以外は出しにくくなっていた。そのことにみんなどこかで気がつき始めていたけれど、流れに逆らうこともはみ出ることもできなくなっていた今、こういう機会が得られてよかったと思います。

対面とオンラインで開催した「全員“へん”集長会議」の様子。

―N=1をあらわにすることによって、みなさんの生活者としての一面が顔を出してきたのかなと。林さんは、議論をどのように見守っていましたか?

林さん:ワークショップを通して意外な人が意外な偏愛を持っていたことがわかり、事後アンケートでも「隣のチームとのコミュニケーションが活性化した」という意見があったりして。それが一番よかったんじゃないかなと思っています。それから、みなさんが本当にオレンジページのことが好きなんだなということもあらためてわかりました。

遠藤:「全員“へん”集長会議」の決まりとして、お互いに「〇〇編集長」と呼び合うっていうのがあって。部署や上下関係を取り払って話したことで、社員同士で本質的なコミュニケーションをとることができたのが驚きでした。参加いただくにあたって、みなさんになかなかの負荷をかけることになり心配していましたが、それでももっと早くにやればよかったと思うくらい、好意的に受け取ってもらえてうれしかったですね。

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